この事例の依頼主
30代 女性
被害者は、長距離バスの運転手でした。高速道路を進行中、車両に異常が生じたため、路肩に停車し、車外に出て異常箇所を点検していたところ、後方から進行してきたトラックが追突し、バスの車体と擁壁に挟まれて死亡しました。被害者には、相続人がいましたが、同居していた女性がいました。この女性からのご依頼を受け、内縁関係が成立していることを前提として、加害者に対する損害賠償請求の対応に当たりました。
1 詳細な事情の確認本事案では、女性と被害者との間に内縁関係が成立していたと認められなければ、慰謝料、被扶養利益侵害の逸失利益の請求が認められません。このため、ご依頼を頂いた後、打合せを重ね、交際の開始から被害者が死亡するまでの経過、将来的な入籍の予定などを詳しく確認するなどして、内縁関係が成立していたことの根拠となる事情を洗い出しました。2 他の手続(社会保険・労災保険)の先行損害賠償請求の手続において「内縁関係の成立」が争われる可能性がありました。この時に、女性が内縁の妻であると認定される可能性を高めておくため、損害賠償の手続以外で、「内縁関係の成立」が請求の要件となっている請求手続を先行しました。具体的には、社会保険に対する死亡一時金の請求手続労災保険に対する遺族年金の請求手続です。これらの手続において、女性が内縁の妻であると認定され、支給を受けられれば、損害賠償請求の手続においても有力な裏付けとなるためです。幸い、これらの手続において、女性が内縁の妻であると認定され、支給を受けることができました。3 相続人との協議社会保険・労災保険の手続において、女性が内縁の妻であると認定された後、その事実を相続人側に伝えるとともに、女性が内縁の妻であることを前提として協力関係を結びたい旨を申し入れました。慎重に協議を重ねた結果、相続人の側も、女性が内縁の妻であることを前提として損害賠償の問題を解決することを受け入れました。
同居を開始してから1年未満しか経過していませんでしたが、内縁関係の成立を認めてもらうことができました。やはり、社会保険と労災保険において、女性が内縁の妻と認められた事実は、こちらの主張に大きな説得力をもたらしました。内縁関係の存在を前提として、受け取れる賠償金の額をできる限り多くするため、被害者と女性との生活実態などの事情を詳細に主張しました。この結果、内縁関係にあった期間からすれば、かなり多額の賠償金を受け取ることができたと思います。詳しくはこちらのページをご確認ください。https://daichi-lo.com/case/case-shibou4.html