この事例の依頼主
40代 女性
相談前の状況
依頼者の母親は、外国の金融機関に依頼者と母親の共同名義口座(いわゆるジョイントアカウント)を残して亡くなりました。ジョイントアカウントが相続の対象となるか、仮になるとした場合には、どのように相続するかが分からず、遺産分割協議が進まない状況でした。
解決への流れ
ジョイントアカウントは、共同名義人の一人が死亡すると自動的に残った名義人の単独名義口座となることから、欧米諸国では相続対策として利用されることもあります。このような口座の仕組みに従い、ジョイントアカウントに残っていた残高は、遺産分割の対象とせず依頼者が取得することにしました。しかしながら、当該口座の預金のほとんどは母親が預け入れたものでしたので、一定の特別受益があったものとして取り分を調整して、遺産分割を成立させました。
ジョイントアカウントは2014年に出された東京地方裁判所の判決で相続財産に含まれない、すなわち相続の対象ではないと判断され、実務ではその取り扱いが定着してきています。不動産に対するジョイントテナンシーも同じ考え方になると思われます。しかしながら、ジョイントアカウントに残された亡くなった方が出捐した預金を特別受益として扱うか、扱うとすれば預金した時に贈与があったと考えるか、亡くなった時に贈与があったと考えるかなどは未だ実務も定着していまません。立場に応じて、自らに有利な主張を展開していく必要があります。