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#財産分与

【財産分与】財産分与に一切応じない頑固な夫を目の前にして離婚請求をする事例

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鈴木 祥平 弁護士が解決
所属事務所みずがき綜合法律事務所
所在地東京都 新宿区

この事例の依頼主

50代 女性

相談前の状況

Aさんの夫のBさんは、自分の意見をAさんに押し付ける性格であり、夫婦関係が対等ではないと長年感じていました。何とか関係性を修復する必要があると考えてAさんは長年努力を重ねてきましたが、Bさんの態度は変わることはありませんでした。Bさんは、一流大学を卒業し、勤務していた会社も一流企業であったため、何かにつけてAさんを小馬鹿にすることが多く、Aさんとしてはそれが耐えられないということでした。Aさんとしては、このまま夫婦関係を続けていても、自分の将来は明るくないなと考えて、Aさんは、離婚を決意し、実家(神奈川県)の隣にアパートを借りて、別居を始めることにしました。住んでいた家は、結婚当初に住宅ローンを組んで購入した家(一軒家)でした。また、Bさんはその当時56歳であったことから、退職金の財産分与などもどうなるのか気になりました。そこで、当職のところに無料法律相談にお越しになられました。Bさんは、Bさんの退職金は一切分与をしたくない、また、住宅についても財産分与をしたくないと理不尽な主張をしていたため、当職が受任をしてBさんと交渉することになりました。

解決への流れ

Bさんは当時56歳(定年60歳)であったことから、退職した際に退職金が出ることが可能性はかなり高かったことから、60歳まで働いた場合に得られる退職金の婚姻期間に相当する割合(約600万円)の財産分与を求めました。そのうえで、住宅(一軒家)についても不動産の仲介業者に簡易査定を出してもらい、その簡易査定の評価額から残住宅ローンを引いた金額の1/2(2300万円)の財産分与を求めました。交渉段階では、Bさんは当職からの要求(総額2900万円程度)の財産分与要求について、一切応じる様子がなかったことから、東京家庭裁判所に調停の申し立てをすることにいたしました。さすがに調停委員が間に入った調停の席では、上記のような理不尽な主張を継続することはできず、当初、Bさんは1500万円なら支払うという譲歩案を出してきました。Aさんとしては、今後の生活を設計する場合に1500万円では離婚することはできなかったことから、当職としてはその案を拒絶し、その金額あれば別居を続けて婚姻費用を離婚するまでもらい続けるという選択をしました。そうしたところ、Bさんとしては婚姻費用の負担を重く感じていたため、そのような選択をされることをかなり嫌がりました。訴訟になれば、上記の2900万円程度の財産分与を得ることが見込まれたことから、別居を続けて婚姻費用をもらい続けながら、ある程度別居期間が経過したところで離婚訴訟を提起することの方がAさんにとって経済的メリットが大きいと判断をしたわけです。そうしたところ、Bさんは小刻みに譲歩案を釣り上げてきましたが、すべて拒否し続けました。あまりにも、理不尽な主張をBさんが続けたため、当職が「今日の期日で調停を不成立にしていただいて結構です。訴訟を提起して訴訟手続きの中で当方の主張を尽くします」ところ、①紛争が長引くことや②訴訟になった場合のコストを考えたようで2500万円なら支払うという言質を取ることができたことから、紛争が長引くことを憂慮したAさんも2500万円をもらえば話し合いでの離婚に応じるという意向を示したことから、2500万円の財産分与を得ることで調停を成立させることができました。

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鈴木 祥平 弁護士からのコメント

「交渉」や「調停」において相手方と交渉を行う場合には、次の手続きに移行した場合にどのような「見通し」になるのかを踏まえて、「振る舞いを決める」ことが重要です。相手方が理不尽な要求を続ける場合には、「その交渉の席を立ってしまう」という決断もときには重要になります。交渉をするときには「相手方が嫌がるポイント」あるいは「相手方が望んでいるポイント」を見極めながら、相手方の同意をどう獲得するのかを考える必要があります。調停だから弁護士を付けずに対応をすることができると考える人も多いですが、調停のような話合いの席においても将来の手続きにおける結論を見据えて話をする必要があることから、代理人を付けて手続きを進めることをお勧めいたします。