犯罪・刑事事件の解決事例
#労働条件・人事異動 . #給料・残業代請求

【飲食店における未払い残業代請求に対する対応方法】

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中村 浩士 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人シティ総合法律事務所
所在地北海道 札幌市中央区

この事例の依頼主

40代 男性

相談前の状況

居酒屋の従業員複数名から、残業代が払われていないと苦情が出たが放置していたところ、弁護士から内容証明が届き、1人当たり300万円、総額約1000万円もの未払残業代請求がなされたという相談を受け、その対応について受任することになりました。未払い残業代を支払っていなかったことは間違いないが、残業時間はせいぜい1日1時間程度であり、総額100万円程度のものであったはずであるとのことであり、確かに、複数名のタイムカードの打刻時刻が同じであるケースが散見され、複数名でタイムカードを押し合い、偽造していることが伺われた。

解決への流れ

当方からは、残業代が仮に発生しているとしても、店舗終了後の食器洗いや清掃で1時間を超えるようなものではなく、100万円以上の支払いの意思はないことを伝えました。すると、相手方の弁護士からは、翌日の提供メニューの仕込み作業が必要であり、勤務終了後や、勤務開始前にこれらのために多くの残業をしていたからこそこのようなタイムカードの打刻時刻になっているのであり、タイムカードのとおりに支払うべきであるとの主張がなされた。そこで、弁護士において、店舗を訪れ、メニューや仕入れ物、調理マニュアル等を確認し、従業員からもヒアリングを行ったところ、長時間を要するような調理作業はほぼなく、勤務時間内で概ね作業が終わるように各自が工夫してこなしている状況が確認でき、仕事もないのに無駄に残って雑談したり寝ていたりしていたことがあるとの目撃証言も得られた。また、レシートのジャーナルや予約受付簿を確認すると、客が少ない日にも、長時間勤務したかのようなタイムカードの打刻がなされている等の矛盾が浮かび上がってきた。従業員の一部は、近隣のパーキングを利用しており、その入出庫履歴を入手してタイムカードと比較すると、出庫後にタイムカードが打刻されていることが度々あることが把握できました。これらの状況から、請求額は支払えない旨明確に拒絶したところ、労働審判の申立がなされたが、労働審判においてこれらの証拠を提出して裁判官の心証を掴み、請求額からは大幅に減額された金額で合意するに至った。

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中村 浩士 弁護士からのコメント

残業代を支払っていないのはもちろんいけませんが、虚偽の事実を作って実際より多くの残業代請求をするという不正請求も、立派な詐欺行為であり、許してはなりません。相手方の主張する作業内容を子細に検証すると、ほころびが出てくる場合があります。元検事ですので、相手方の言い分について可能な限り裏付けを取り、客観証拠との矛盾を見つけ出して、ほころびを示す作業を徹底します。各業種によって、作業の内容はやはり専門性がありますので、その点の理解に十分に時間を使います。